武田の消炎剤「ダーゼン」効かない可能性

武田の消炎剤「ダーゼン」効かない可能性

以下は、記事の抜粋です。


気管支ぜんそくのたんを切る武田薬品工業の消炎剤「ダーゼン」の効果を再確認する試験で、期待される効果が認められなかったことが1月19日、厚生労働省の医薬品再評価部会で報告された。

効かないことが確定すれば、承認取り消しの可能性もあるが、同部会はさらに検証の必要があるとして、継続審議を決めた。

ダーゼン(一般名セラペプターゼ)は1968年に承認された、医師の処方が必要な飲み薬。慢性副鼻腔炎などの炎症抑制にも使われ、年間約67億円(2009年度)を売り上げる。

同社が00~09年、慢性気管支炎の患者311人のうち156人にダーゼン、155人に偽薬を投与して比較したところ、いずれも6割以上の患者で症状が改善し、差がなかった。部会では、ダーゼンに似た薬も検討すべきだとの意見も出た。武田薬品工業は「コメントは控えたい」としている。


ダーゼン(セラペプターゼ)は一般名から類推されるようにタンパク質分解酵素です。添付文書には以下のように書かれています。


効能又は効果
◇次の疾患、症状の腫脹の緩解:手術後及び外傷後、慢性副鼻腔炎、乳汁うっ滞(乳房マッサージ及び搾乳を行っている場合)
◇痰の切れが悪く、喀出回数の多い下記疾患の喀痰喀出困難:気管支炎、肺結核、気管支喘息
◇麻酔後の喀痰喀出困難

薬物動態
ラット及び犬に経口投与すると投与1時間以内に血中及びリンパ液中のセラペプターゼ濃度は最高値に達し、その濃度は血中よりもリンパ液中の方が高い。また、投与6時間後までのリンパ液中総吸収量は投与量に依存して増加する。

臨床成績(抜粋)
臨床効果:ダーゼン5mg錠を用いた下記の二重盲検比較試験により有用性が認められている。
1)慢性気管支炎等に伴う喀痰喀出効果:「痰の切れ」、「咳の回数」、「痰の回数」の改善で有意にすぐれていた。
2)慢性副鼻腔炎に対する効果:自覚症状として「鼻のかみやすさ」、「後鼻漏」、「鼻閉」、他覚的所見として「後鼻漏」、「膿性鼻汁の漿液化」の改善がみられた。
3)慢性副鼻腔炎根治手術後の頬部腫脹に対する効果:術後の頬部腫脹の程度が有意に小さい。
4)足関節捻挫に伴う腫脹に対する効果
5)甲状腺亜全摘術後の頸部腫脹に対する効果
6)分娩時会陰切開創の腫脹に対する効果
7)乳汁うっ滞に対する効果:「自発痛」、「乳房腫脹」、「硬結」の改善が有意にすぐれていた。
8)麻酔後の喀痰喀出効果:「咽頭痛」、「喘鳴」を訴える患者数が有意に少なく、喀痰融解効果も有意にすぐれていた。

薬効薬理(抜粋)
1)熱傷受傷ラットの線溶活性及び血管透過性の亢進を経口投与により抑制する。
2)抗ラット血清によるラット皮膚の炎症性浮腫を経口投与により抑制する。また、カラゲニン、デキストラン、セロトニン、ブラディキニン等の各種起炎物質によるラット炎症性浮腫を同様に抑制する。


ニュースが正しいとすると、上の臨床成績などのデータはどうなるのでしょうか?

おそらく、添付文書に書かれているデータの大半は製薬企業自身が出したものか、製薬企業から研究費を提供された大学研究者が出したもので、いわゆる「利益相反」に該当するものかもしれませんが、なかなかもっともらしく、どれが嘘なのかわかりません。

この話を聞いて、20世紀末に消えていった「ホパテ」や「アバン」などという何千億円もの売り上げをあげていた「脳循環代謝改善薬」あるいは「抗痴呆薬」を思い出しました。効かない薬は、これらの薬物と一緒に消えてなくなったと思っていました。

セラペプターゼや塩化リゾチームなどの「消炎酵素剤」は、欧米ではほとんど承認されていません。おそらく、製薬企業もあまり効かないことはある程度わかっていたのではないでしょうか?

経口投与されたセラペプターゼがどのようにして気管支まで到達するのか?到達するのは何パーセントか?などの疑問を持たずに好んで処方してきた医師も多いと思います。このようなニュースが出たので、今後「ダーゼン」を処方する医師は薬物について無知だと思われるかもしれません。

添付文書には申し訳のように次のコメントが書かれています。「本剤の体内での作用機序はなお解明されていない点も多く、また、用量・効果の関係も必ずしも明らかにされていない。従って漫然と投与すべきでない。」

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コメント

  1. 明日の刑事 より:

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    セラペプダーゼはタンパク質ですから、アミノ酸に分解されて、吸収されると思います。そのままの形で吸収されるはずがありません。
    少し考えればわかると思うのですが、これまでどうして放置されていたのでしょう。

  2. tak より:

    SECRET: 0
    PASS:
    >明日の刑事さん
    ダーゼンの添付文書によると、「ラット及び犬に経口投与(十二指腸内投与)すると投与1時間以内に血中及びリンパ液中のセラペプターゼ濃度は最高値に達し、その濃度は血中よりもリンパ液中の方が高い。また、投与6時間後までのリンパ液中総吸収量は投与量に依存して増加する。」と書かれています。ダーゼンは腸溶剤ですので、腸までは行くと思います。そこからどのように血中へ移行するのかはわかりませんが、上のデータが正しいとすれば、一部は移行するようです。

  3. 業界人 より:

    SECRET: 0
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    売れる薬と効く薬はちがうんですね~
    ではなぜ効果のない薬や疑わしい薬があるかというと、製薬メーカーが厚労省の天下り先になってからなのです・・このように日本だけの薬がはびこっています(他の国では薬にならないので無い!)