新型インフル重症例、「季節性」の抗体原因?

新型インフル重症例、「季節性」の抗体原因

以下は、記事の抜粋です。


昨年世界的に流行した新型インフルエンザでは免疫力の強い青壮年層にも重症例や死亡例が出たが、もともと体内に持っていた季節性インフルエンザの抗体による異常な免疫反応が原因であることが、米バンダービルト大学などの研究で明らかになった。

新型ウイルスによる重症例の効果的治療法の開発につながると期待される。12月6日、ネイチャー・メディシン電子版で発表する。

研究チームは、新型で入院した17~57歳の54人の血液や肺の組織などを詳しく調べた。その結果、過去に季節性に感染した際にできた抗体は、新型ウイルスとも反応することを確認。この抗体は新型ウイルスの感染を防ぐ力はないが、異常な免疫反応を起こし、肺や腎臓にウイルスたんぱく質などを蓄積する結果、重症化することを解明した。


上の記事だけを読むと、「季節性」抗体を持つ患者が新型(H1N1)に感染すると重症化するようにとれます。そうだとすると、今年のインフルエンザの予防注射は、「A香港型、B型、新型インフルエンザ」の3種混合ですので、このようなワクチンを打つと「季節性」抗体ができてしまい、新型に感染した場合は危ないのではないかとも考えられます。

元論文のタイトルは、”Severe pandemic 2009 H1N1 influenza disease due to pathogenic immune complexes”です(論文をみる)。

論文では、17~57歳の”Adults”と75~97歳の”Elderly”で抗体価と重症例の有無を調べています。Elderlyには重症例は出ていないのですが、「季節性」抗体の抗体価はAdultsとほぼ同じです。違うのは、Elderlyでは新型に対する抗体価は高いが、Adultsでは低い点です。

おそらく、Adultsでは新型に対する中和抗体が少ないために、ウィルスと「季節性」抗体の複合体ができたが、ウィルスに高い親和性をもつ中和抗体が存在すれば、そのような複合体はできないのでしょう。3種混合ワクチンは大丈夫のようです。

それにしても、この論文に書かれていることは、重症例が高齢者よりも青壮年層に認められたことを説明する1つの仮説です。新聞でこんなに断定的に書くのはやめてほしいですね。

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