アスピリンを毎日服用すると、各種臓器の腺がんによる長期死亡リスクが低下する

がん死亡リスク、アスピリン常用で大幅減、英大研究
以下は、記事の抜粋です。一部は、論文内容と合致するように修正しています。


アスピリンを毎日服用することでさまざまな種類のがんによる死亡の危険性を減らすことができるとの研究が、12月7日の英医学専門誌The Lancetに発表された。オックスフォード大学のPeter Rothwell氏らの研究チームは以前、アスピリンに大腸がんの予防効果があることを突き止めていた。

研究チームは、過去に行われた8件の臨床試験の結果を分析した。被験者は合計で2万5570人だった。各試験の期間は4~8年で、どの臨床試験も本来はアスピリンとがんの関連性を研究する試験ではなかったが、被験者はアスピリンか偽薬のどちらかを服用していた。

研究の結果、5年間アスピリンを毎日服用した場合、すべてのがんによる死亡率はコントロール群の66%に減少し、消化管がんによる死亡率は46%にまで減少した。また、20年間フォローした場合でも、がん死亡のリスクは約20%低下した。しかし、肺がんと咽喉がんの予防効果は非喫煙者にみられる腺がんにしか認められなかった。

アスピリンの服用開始から効果が出るまでにかかる期間はがんの種類によって異なり、食道がんとすい臓がん、脳腫瘍、肺がんは5年、胃がん、結腸直腸がん、前立腺がんではもっと遅れて効果が認められた。

「長期的に考えた場合に最も重要な点は、アスピリンのような簡単な化合物でがんが予防できるという原則を発見したことだろう。『化学予防』が現実的な目標になった」(Rothwell氏)

多くの医師は、心臓発作や、血栓による脳卒中、その他の心血管リスクを減らすためにアスピリンの常用を薦めている。しかし、アスピリンを毎日服用すると、胃の出血などの問題を引き起こす恐れがある。英国がん研究所のEd Yong氏は、「アスピリンを毎日服用したい人は、まずは医師に相談することをおすすめする」と語った。


元論文のタイトルは、”Effect of daily aspirin on long-term risk of death due to cancer: analysis of individual patient data from randomised trials”です(論文をみる)。乳がんについての報告もあります(論文をみる)。

重要なポイントがいくつかあります。1)一日おきに飲む場合に効果があるかどうかは不明。2)おそらく、COX2の抑制で効いている。3)1日量が75mg以上であれば、服用量に関係ない。4)血球系細胞のがんには効果がない。などなどです。

Craig Venter氏が自身の全ゲノムを解読した結果、apolipoprotein E (Apo E)遺伝子の一つがE3ではなくE4だったことがわかり、アルツハイマー予防の目的でスタチンを飲んでいるというのは有名な話(記事をよむ)ですが、今後は腺がんリスクの高い患者が予防の目的で、毎日アスピリンを服用するということが多くなるかもしれません。

アスピリンは非常に安価な薬なので、費用対効果を考えても「腺がん予防薬」として優れていると思います。脳梗塞や心筋梗塞などのリスクも高い患者にとっては、一粒で二度美味しいようなことになるかもしれません。ただ、記事にもあるように医師と相談した上で、消化管出血などを適宜調べながら服用する必要があると思います。

以下は、このニュースを報じる動画です。ゲストの医師も女性ニュースキャスターもアスピリンを飲んでいるようです。

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