服用者自身への有害性と他者への有害性を総合すると、最も有害な薬物はアルコールである

最も有害な薬物はアルコール、社会的な影響も考慮 英研究
以下は、記事の抜粋です。


英政府の薬物に関する独立科学委員会(ISCD)は11月1日、英医学専門誌The Lancetに、社会的な影響も考慮すればアルコールはヘロインやクラック・コカインなどの違法薬物よりも危険だとする研究結果を発表した。

これによると人体への有害性はヘロイン、クラック・コカイン、メタンフェタミンが最も高かった。だが、医療制度や刑務所制度に及ぼす影響など、広範な社会的影響を考慮した場合、アルコールが最も危険で、ヘロインやクラック・コカインがあとに続いた。100を最高とした危険度は、アルコールが72で、ヘロインが55、クラック・コカインが54だった。

ISCDは、今回の研究で、現行の薬物分類制度は実際の有害性をあまり正しく反映していないことが示されたとしている。


元論文のタイトルは、”Drug harms in the UK: a multicriteria decision analysis”です(論文をみる)。記事の「社会的影響」は、論文では”harmful to others(他者への有害性)”、「人体への有害性」は”harmful to individuals(服薬者自身への有害性)”です。

この論文は、イギリスの状況に基いて書かれていますので、日本では少し異なる可能性があります。興味深いのは、アルコールとタバコという公認された薬物がヘロインなどの麻薬と同等に扱われていることです。

アルコールやタバコは、非常に古くから社会に導入されたために使用が認められていますが、もしもこれらが最近に社会に導入されたものであれば、当然違法薬物に指定されるほど有害であるということだと思います。有害薬物や違法薬物の分類が、本当に有害かどうかで行われていないのは日本も同じです。

日本で同様の調査を行えば、他の薬物使用はおそらくイギリスよりは少ないので、アルコールやタバコはさらに重要な有害薬物であるという結果になると思われます。しかし、税収の低下に苦しむ政府は税率を上げる以外のことはしないでしょう。

170年前イギリスは、清にアヘン(ヘロインの原料)の密輸を強要して「アヘン戦争」をおこした歴史があるので、このような問題に敏感なのかもしれません。

下の動画は、昨年Nutt氏らとBBCが作製した「アルコールはエクスタシー(3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン)よりも悪いか?」というテレビ番組で、様々な薬物についてその有害性が説明されています。

この動画でも有害薬物のランキングが行われていますが、こちらは服薬者自身への有害性だけに基いてランキングが行われているようです。1位ヘロイン、2位コカイン、、、と並んでいて、アルコールは5位、タバコは9位となっています。

私にとっては、服薬者以外への有害性を考慮した上記の論文よりも、この動画の方がむしろインパクトがありました。動画では、20位から順に有害薬物が紹介され、薬理学と英語のよい勉強になります。

動画は5部から成り立っていて、以下のものはpart 1です。

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コメント

  1. nsdap より:

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    臓器障害は断トツなんじゃないかと…
    わたくしも、先生や他のお医者さんのブログのように論文ベースや教科書(成書)ベースにブログを書くのが目標です