コレステロール値:「高い方が死亡率低い」、高コレステロール=長寿、日本脂質栄養学会

コレステロール値:「高い方が死亡率低い」 日本脂質栄養学会で研究成果発表

以下は、記事の抜粋です。


動脈硬化の原因の一つとされるコレステロールについて、日本脂質栄養学会(理事長=浜崎富山大教授)が「総コレステロール値またはLDLコレステロール値が高い方が総死亡率が低い」とする研究成果をまとめた。9月3日愛知県で開かれる日本脂質栄養学会で発表する。

日本では、血中のLDL値が140mg/dl以上で高脂血症と診断される。浜崎教授らは、東海大学が老人基本健診受診者(男性8340人、女性13591人)を平均7.1年間追跡した調査などを分析。男性ではLDL値が79以下の人より、100~159の人の方が死亡率が低く、女性ではどのレベルでもほとんど差がないとの結果を得た。

脂質栄養学会は、浜崎教授を委員長に「長寿のためのコレステロールガイドライン策定委員会」を設置。「特別な場合を除き、動脈硬化性疾患予防に(コレステロール値)低下目的の投薬は不適切」などとする内容を盛り込むことを検討している。

浜崎教授は「日本でコレステロール値を下げる薬の売り上げは年間約2500億円。関連医療費も含めると7500億円を上回る。この中には多額の税金も投入されており、無駄と思われる投薬はなくすべきだ」と話している。


以上は、毎日の記事ですが、読売の記事もあります。

高コレステロール=長寿、脂質栄養学会が指針(抜粋省略)

関連記事で紹介したのと同じ話です。その後、日本脳卒中学会の機関誌に論文が掲載されました(論文をみる)。論文を読んでも、「とんでもない話」、「こんな論文」という感想は変わりません。

今回の発表の根拠になっている臨床試験は、後ろ向き(retrospective)観察試験によるものです。観察試験では、研究者は積極的な介入を行わず、対象者を観察することで研究を行います。

具体的には、最初に疾病にかかった人を選び、その人達の生活習慣などを過去にさかのぼって「後向き」に調査します。例えば、脳出血をおこした人のコレステロール値を調べると、高い人よりも低い人の方が多かったというような結果が得られます。このような研究では、関連性は示唆できても因果関係は証明できません。

一方、スタチン投与によって高LDL値を下げると心血管リスクが低下することを示した研究の多くは、因果関係を証明するための二重盲検無作為割付臨床試験です。

具体的には、対象者を、乱数表などを使って、ランダムに二つの群に分けます(無作為割付)。介入群には、評価しようとする治療や予防を行い、対照群には、評価しようとする薬と見かけは同じだが薬効のないプラセボを投与します。さらに、治療者もどの患者にプラセボが投与されているかわからない(二重盲検)ようにします。

後ろ向き観察試験と二重盲検無作為割付臨床試験、どちらが真実に近いかは明らかです。高LDL血症は治療すべきです。宗教法人にしたほうが良いような「学会」のコメントを単にスキャンダラスだという理由で取り上げているとすれば、毎日も読売も救いがたいです。

「スタチンを飲ませてLDL値が下がったから脳梗塞になった」というバカバカしい訴訟がおこらないことを祈っています。

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脳卒中: 「高脂血症」の人の死亡率は約半分?

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コメント

  1. 院長 より:

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    おっしゃる通りだと思います。
    当ブログにも、この記事紹介させてください。