医学部の地域枠…何が問題か?

医学部の地域枠、16大学で定員割れ…読売調査

以下は、記事の抜粋です。


地域の医師不足解消を目的に、ここ数年急増した医学部の地域枠が、16大学で2010年度、定員割れだったことが読売新聞の調べでわかった。

地域枠は主に、地元出身者を対象に推薦などで選抜し、奨学金と引き換えに一定期間の地域勤務を義務づける場合が多い。文部科学省によると、07年度には21大学(定員計173人)だったのが、10年度には65大学(同1076人)に急増。医学部の全入学定員(約8800人)の1割以上を占める。

10年度、16大学で募集定員に満たず、不足分は計80人だった。定員通りの合格者を出したが、入学を辞退され結果としてゼロという大学があったほか、定員には達したものの、合格後に奨学金を辞退した例のあった大学が複数あった。

入学定員(約110人)の半分近くを地域枠に充てている旭川医大は、募集50人に合格者は22人だった。11年度から合格基準を引き下げて確保に努める考えだ。


記事の見出しは、「16大学で定員割れ」と定員割れを強調していますが、定員1076人中不足が80人ですので、充足率は92.6%です。定員割れ自体はあまり問題ではないと思います。

むしろ、この「地域枠」という制度が、本当に地域の医師確保策として有効かどうかが問題だと思います。

この調査で明らかになった事実は、1)奨学金には多くの場合、魅力も拘束力もない。2)学力の低い受験者が多い。3)入学時に卒業後の進路を限定されることを多くの学生は好まない。4)「地域枠」制度は入試制度の盲点として悪用されることがある―などなどです。

この様な実態をみて、地域枠以外の医学部合格者が地域医療に貢献するのがバカバカしくなり、かえって地域医療の状況が悪くなるのではないかと心配します。

私の友人には、大阪のど真ん中出身で、地域医療に長年貢献した医師もいます。出身地にこだわる地域枠では、このような学生ははじめから想定されていません。

それにしても、11年度から合格基準を引き下げて確保に努めるという旭川医大の対応には驚きました。

下の関連記事の「派遣センター」は、地域枠出身の新卒の医師らを医師不足の病院に送る仕組みで、厚労省が来年度予算の概算要求に20億円盛り込むそうです。役人の天下り先になりそうですが、読売とちがって朝日は好意的に報道しています。

関連記事
医師不足解消へ、都道府県に派遣センター 厚労省が構想

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする