アルツハイマーにうまい?予防法

アルツハイマーにうまい予防法…食べるワクチン

以下は、記事の抜粋です。


アルツハイマー病の原因とされるたんぱく質を含むピーマンを食べると、この病気の予防につながる効果があることを、東京大学の石浦章一教授らがマウスの実験で確認した。「食べるワクチン」として臨床応用が期待される。米科学誌に発表した。

アルツハイマー病の患者の脳には、アミロイド・ベータというたんぱく質が沈着・凝集し、老人斑ができている。これが認知機能の低下などを起こすと考えられている。

米国でアミロイド・ベータをワクチンとして注射する臨床試験が行われたことがあるが、過剰な免疫反応による副作用が問題となり、中止になった。

石浦教授らは、注射でなく食べて腸から吸収すると、副作用が起こりにくいことに着目。アミロイド・ベータの遺伝子を組み込んだピーマンを作り、その青葉を青汁にして、アルツハイマー病を発症するように遺伝子を操作したマウスに与えた。何も与えなかったマウスは発症して1年ほどで死んだが、青汁を与えたマウスは16か月以上生存、脳に老人斑は見られなかった。副作用も少なかった。


元論文のタイトルは、”Reduction of amyloid beta-peptide accumulation in Tg2576 transgenic mice by oral vaccination.”です(元論文をみる)。

記事の「アルツハイマー病を発症するように遺伝子を操作したマウス」とは、Tg2576マウスのことです。アミロイド前駆体蛋白(APP)を過剰発現するTg2576マウスは、アルツハイマー病にみられる神経細胞の脱落や神経原線維変化などはありませんが、老化に伴いAβの蓄積が認められることが良く知られています(論文をみる)。

論文によると、GFPのみ、あるいはGFPとGFP-Aβ42の融合タンパクを発現するピーマンの葉による免疫は、マウスの生後5.5ヶ月から18ヶ月まで行われたそうです。18ヶ月のブースター免疫から2週後、すべてのマウスを殺して全血と脳を採取し、それぞれを解析しました。

記事にある、「何も与えなかったマウスは発症して1年ほどで死んだが、青汁を与えたマウスは16か月以上生存、脳に老人斑は見られなかった。副作用も少なかった。」という文章と一致する記載は、論文のどこにもありませんでした。
掲載されのは、Biochemical and Biophysical Research Communications(略称BBRC)という雑誌です(雑誌のHPをみる)。BBRCはいわゆる「速報誌」で、査読はありますがreviseはほとんどないので、掲載を急ぐ研究者が重宝している雑誌です。

BBRCは「米科学誌」ですが、18人のeditorの中3人が日本人で、editorは各自の判断でアクセプトを決定できます。私の友人の話では、日本人のedotorの一人を選んで、朝投稿したら夕方にはアクセプトが来たことがあるそうです。

ところで、2001年のNature Medicineに”Amyloid vaccination: reduced plaques and improved cognition”という記事があり、Aβ42を免疫したTg2576マウスでは、老人斑が減少し認知能力も改善したという論文や他の2つの同様な論文についての記事があります(記事をみる)。石浦さんの論文のポイントは抗原を食べさせたことのようです。

以前、「米の青汁」というのを飲んだことがありますが、「うまい」とは思いませんでした。いつもは遺伝子組換え食品に厳しい日本のマスコミにしては、とても「あまい」記事だと思いました。毎日新聞の感想を聞いてみたいものです。

Nature medicineの記事に載っているTg2576マウス

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