FDAの諮問委員会、アバスチン(ベバシズマブ)の乳がん治療に対する承認取り消しを進言

FDA panel says Avastin should not be marketed for breast cancer treatment

以下は、記事の抜粋です。


米国FDA (Food and Drug Administration)の諮問委員会は7月20日、新しい臨床試験結果においてアバスチン(avastin、一般名:ベバシズマブ(bevacizumab))による乳がん治療におけるベネフィットが認められなかったため、市場における認可を取り消すように進言した。

この進言が採用されたとしても、脳腫瘍、肺がん、大腸がん、腎がんなどのへのアバスチン使用には影響はないが、メーカーが乳がんへの使用を勧めることは難しくなる。

FDAは2008年2月22日、アバスチンの乳がんへの使用についてのいわゆる「スピード申請」を認めた。この認可は、生命を脅かす疾病に対して特別速く認められるものだが、同時にメーカーに対して薬物の有効性について追加の臨床試験を求めている。

最初の臨床試験では、転移のある乳がん患者に対してアバスチンとパクリタキセル(paclitaxel)が併用された。その時には、パクリタキセル単独よりもアバスチン+パクリタキセルは、無増悪生存期間(progression-free survival)を5ヶ月延長した。しかし、全体の生存期間は延長しなかった。

諮問委員会に示された新しい臨床試験では、このような初回の結果を確認できなかった。無増悪生存期間は1ヶ月だけしか延長できず、全体の生存期間は改善できなかった。

FDAは9月17日までに公式決定を行う見通しだが、通常は諮問委員会の意見に従うことが多い。


アバスチン(一般名:ベバシズマブ)は、血管内皮細胞増殖因子 (vascular endothelial growth factor, VEGF) に対するモノクローナル抗体です。VEGFの働きを中和(阻害)することにより、血管新生を抑えたり腫瘍の増殖や転移を抑えたりする作用を持つとされています。

腫瘍血管を縮小させたり新生を抑制したりすることで腫瘍を兵糧攻めにする。さらに、がんの内部に新たな腫瘍血管が伸びることを防ぎ、がん細胞の転移も抑えるといわれています。異常な腫瘍血管を正常化することで併用する抗がん剤が効率よく届くようにする作用があるともいわれています。

しかし、アバスチンが大腸がんや肺がんに有効であるという前提に立てば、がん治療において血管新生の抑制が有効な場合もそうでない場合もあるということを今回の臨床試験は示しています。

日本で承認されている適応は「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」と「扁平上皮癌を除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」で、他の抗悪性腫瘍剤との併用において用いることとされています。日本では、これらは保健適応ですが、英国ではアバスチンによるがん治療は費用対効果が悪いとされ公費医療でカバーされません。

アバスチンの年間売り上げは約60億ドルで乳がんに対する使用は、約10億ドルです。アバスチンの商業的成功を受けて、アバスチンと同様VEGFを中和するVEGF-TRAPや、チロシンキナーゼであるVEGF受容体阻害薬などの臨床試験結果が続々と出てくる予定です。これらに対する有効性や費用対効果の評価が注目されます。

ベバシズマブ(アバスチン)の作用メカニズムを説明する動画

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コメント

  1. poike より:

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    肺がん治療で、アバスチン+アリムタ(ペメトレキセド)+カルボプラチンという治療があり、一回の治療で100万円を超えてしまいます。