科学者満足度:デンマーク1位、日本最下位 英誌調査

科学者満足度:デンマーク1位、日本最下位 英誌調査

奇しくもワールドカップの日本対デンマーク戦と同じ日のニュースです。以下は、記事の抜粋です。


日本の科学者は主要国で最も不幸せ--。こんな調査結果を、英科学誌ネイチャーが初めてまとめ、6月24日付で発表した。満足度1位はデンマークだった。日本人は他国に比べ、休日が少なく研究テーマの選択で裁量が小さいとして強い不満を抱いていた。科学技術立国を掲げる政府だが、科学者が将来の展望を抱けるような政策が求められそうだ。

同誌は3~4月、インターネットを使って、世界の科学者に「給与」「休日の取得」「産休・育休」など8項目の労働環境について、満足(1点)から不満(0点)で点数化してもらった。今回、日米欧や、科学技術が伸びている中国やインド、韓国の計16カ国の研究者約1万500人について分析した。

それによると、日本は「休日」(0.424点)「労働時間」(0.448点)「研究テーマの独立性」(0.567点)「上司や同僚からの指導」(0.442点)の4項目で最下位を記録し、デンマークの点数の5~7割だった。残りの「給与」など4項目も12~15位にとどまった。デンマークに続いてオランダ、スウェーデンの科学者の満足度が高かった。

科学技術政策に詳しい角南政策研究大学院大准教授は「日本は、中印より施設面などの研究環境は劣らないはずだ。しかし満足度が低いのは、奴隷的な労働環境で将来性を見いだせていないためと言える。政府は危機感を持つべきだ」と指摘する。


元記事のタイトルは、”For love and money”で、”The self-reported contentment of researchers with their chosen profession depends on more than just salaries, according to the results of our international career survey.”という要約がついています(記事をみる)。

総合点での順位と点は、1 デンマーク(0.777), 2 オランダ(0.718), 3 スウェーデン(0.711), 4 フランス(0.671), 5 スイス(0.659), 6 ドイツ(0.654), 7 カナダ(0.649), 8 イギリス(0.643), 9 オーストラリア(0.640), 10 アメリカ(0.628), 11 スペイン(0.566), 12 韓国(0.558), 13 イタリア(0.532), 14 インド(0.514), 15 中国(0.501), 16 日本(0.458)です。

また、調べた8項目は、報酬、休暇日数、医療給付、育児休暇、退職年金制度、1週あたりの労働時間、独立度、上司と同僚からの助言です。

以下は、項目別の表を日本を中心としてまとめなおしたものです。

日本 平均 最高 最低 順位
報酬 0.471 0.509 0.844 (スイス) 0.339 (伊) 11
休暇 0.424 0.690 0.870 (デンマーク) 日本 16
医療 0.546 0.623 0.851 (フランス) 0.442 (インド) 13
育児 0.429 0.542 0.937 (デンマーク) 0.426 (スイス) 15
年金 0.341 0.516 0.771 (デンマーク) 0.291 (伊) 14
時間 0.448 0.589 0.665 (デンマーク) 日本 16
独立 0.567 0.753 0.858 (オランダ) 日本 16
助言 0.442 0.533 0.600 (オランダ) 日本 16
総計 0.458 0.594 0.777 (デンマーク) 日本 16

この統計は、元々、アメリカNIHのポスドクの将来設計のために始まったもののようで、アカデミックな仕事とはどんなものかをアンケートによって明らかにしようとしたものです。

全体として肯定的で、アカデミックな科学者は満足を感じられる職業だと結論しています。また、独立度は一部の国を除いて高く、他の職業に比べて独立性を楽しめる職業だとしています。ただ、新聞記事では触れられていませんが、下のグラフのように、女性の立場が弱いことが問題だとされています。

独立度のワースト3は中国、インド、日本で、それぞれの点数は、0.657、0.632、0.567です。日本がダントツに低いのは、准教授以下が従属的な状況にあるからだと思います。角南さんはこのあたりのことを「奴隷的な労働環境で将来性を見いだせていない」と言っておられるのだとおもいますが、元の記事とは主旨がずれています。

この統計は、日本の若者のために行われたものではありませんが、日本の科学政策の問題点をかなり浮き彫りにしていると思います。アカデミックな科学者という職業が日本の若者にとっても魅力的であるように科学政策を進めてほしいと思います。

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