口蹄疫、殺処分6万2426頭に。ヒトに感染しないピコルナウイルスがなぜ恐れられるのか?

口蹄疫疑いさらに6農家、処分6万2426頭に

以下は、記事の抜粋です。


宮崎県で発生している家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」問題で、県は5月8日、新たに都農(つの)町と川南町の計6農家の牛と豚に感染した疑いがあると発表した。

これで発生は1市2町の49施設(疑い例も含む)となり、殺処分頭数は牛と豚計6万2426頭に上る。県は9日、都農町の農家の半径10キロ圏で牛や豚などの移動を制限する区域を新たに設ける。

発表によると、5農家が牛を、1農家が豚を飼育。7日に一部の牛や豚に症状が出たという。都農町の農家は1例目の農家から東に約4キロ。川南町の5農家は、1例目の農家から南東4~7キロの位置にある。

また、県は赤松農相が10日に宮崎県を訪れ、東国原英夫知事らと意見交換すると発表した。この問題で赤松農相が宮崎入りするのは初めて。


口蹄疫 – Foot-and-mouth disease(FMD)については、原因、臨床症状、予防・治療、発生情報などの情報を動物衛生研究所(独立行政法人)のホームページでみることができます(ホームページをみる)。

重要だと思われることを以下にまとめます。

●ヒトには感染しない。また、感染した牛や豚をヒトが食べても影響はない。しかし、ヒトの移動その他の活動が感染を拡大させる可能性はある。
●口蹄疫は、ポリオウイルス、A型肝炎ウイルス等と同じピコルナ(「小さいRNA」の意味)ウイルス科に分類される口蹄疫ウイルスの感染による急性熱性伝染病で、伝染力が強く、牛、水牛、豚、めん羊、山羊などの家畜や野生動物が感染する。
●病名は発病動物の口,蹄及び乳房周辺の皮膚や粘膜に水疱が形成されることに由来。
●口蹄疫による致死率は、成畜では一般に低く数%程度。しかし、ウイルスの伝染力が激しく、感染すると餌を食べなくなるので肉質や乳の出が悪くなり、家畜としての金銭的価値が激減する。
●一度発生すると、国あるいは地域ごとに厳しい生畜と畜産物の移動制限が課せられるため、社会経済的な被害は甚大。
●国際獣疫事務局(OIE)は、本病を最も重要な家畜の伝染病に位置付けている。日本でも本病は家畜の法定伝染病に指定されている。
●口蹄疫ウイルスには,相互にワクチンが全く効かないO、Aなどの7種類の血清型がある。しかも、ウイルス抗原は変異を起こしやすく、ワクチンのみでは本病の根絶は困難。
●牛などの反芻獣が免疫を獲得した後長期間持続感染するキャリア化する問題もあって、現在ほとんどの先進国は、本病に対して移動制限と殺処分方式により防疫を図り常在化を防ぐことを防疫の基本方針にしている。
●ほぼ全世界的に発生。現在も、南アメリカ,アジア及びアフリカ諸国の広範な地域で常在的な発生がある。これまでに長年発生のなかった国は、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカ、カナダ、スウェーデン、ノルウェー及びフィンランドのほか数カ国程度である。
●豚のウイルス排出量は、一般に牛などの反芻獣に比較して100倍~2,000倍多く、高濃度のウイルスをエアロゾルの状態で気道から排出する。このほか、発病動物の水疱や乳汁にも多量のウイルスが含まれ、糞尿にもウイルスが排出される。


上記のように、韓国も長い間口蹄疫が発生していませんでした。韓国で最初のO型発見は、4月8日です。宮崎での発見は4月9日ですので、今回の感染が韓国から伝播したとは考えにくいです。

世界の口蹄疫発生原因を解析した米国農務省の報告によると、初発の伝播原因は、汚染畜産物が最も多く(66%)、次いで風や野鳥(22%)ということです。また、ウイルスは、陸上では60km、海上では250kmもの距離を風で伝播すると指摘されています。

また、台湾では過去70年間近く発生がなかったが、1997年に大規模な発生があり、初発例から4ヶ月の間の累積発生農場数は6,147農場で、発症頭数と蔓延防止のために殺処分された頭数はそれぞれ1,011,674頭及び3,850,746頭(385万頭!)だったそうです。

非常に多くの人や物が地球上を移動する現在、殺処分だけで感染を防げるはずがありません。新型インフルの水際作戦騒ぎを思い出します。行政とマスコミの的確な対応を望みます。

参考記事
宮崎の「口蹄疫(こうていえき)」がどのような影響を与えているのかまとめ

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