サイクロフィリン阻害剤「SCY-635」のC型肝炎ウイルス(HCV)治療薬としての可能性

C型肝炎感染症薬を欧州の学会で発表へ
C型肝炎感染症薬の良好な耐性プロファイル発表

以下は、記事の抜粋です。


創薬企業の米サイネクシスは、同社のサイクロフィリン阻害剤「SCY-635」に関する複数の学会発表アブストラクトが受理され、ウィーンで4月14~18日に開催される欧州肝臓学会(EASL)第45回年次総会で発表されることを明らかにした。SCY-635は、C型肝炎ウイルス(HCV)感染症に対する新規クラスの薬剤で、サイネクシス独自のサイクロフィリン阻害剤の広範なプラットフォームから生まれた初の候補化合物。

サイネクシスは同学会で、良好な耐性プロファイルを持つことを示すデータを発表した。今回の発表では、C型肝炎ウイルスがSCY-635への耐性を獲得するためには、2種類のタンパク質にまたがる複数の変異を必要とすることが示された。


SCY-635が第1b相単剤無作為化二重盲検プラセボ比較試験において、C型肝炎ウイルスに感染した成人で良好な結果を示したという結果は、昨年のEASL年次総会で発表されました。(記事をみる)。第2相試験は、2010年第2四半期に開始予定と報道されています。

サイネクシス(SCYNEXIS)は、米ノースカロライナにある創薬ベンチャーで、ホームページをみる限りでは、サイクロフィリン阻害薬創薬が中心で、SCY-635は最も期待される化合物のようです(ホームページをみる)。

サイクロフィリンは、細胞内で合成されるタンパク質のフォールディングを助ける酵素タンパク質のファミリーで、免疫抑制薬サイロスポリンA(CA)の分子標的として良く知られています。CAはサイクロフィリンと結合し、この複合体がカルシニューリンの脱リン酸化酵素活性を阻害することで、免疫抑制作用を発揮します。

免疫抑制薬として働く場合、カルシニューリン阻害活性のみが注目されていますが、CAには、サイクロフィリンのもつプロリルイソメラーゼ活性を阻害する働きもあります。
サイネクシスは、プロリルイソメラーゼ阻害活性をカルシニューリン阻害(免疫抑制)活性から分離したCAの非免疫抑制性誘導体として、SCY-635を合成しました。
サイクロフィリンは、慢性ウイルス感染症、神経変性疾患、および心臓変性疾患などの領域で治療薬ターゲットとなる可能性があるとされ、サイネクシスはCAの非免疫抑制性アナログがこれらの領域で適応症をもつことを期待しています。

以下は、SCY-635のインビトロでのHCV増殖抑制作用を示した論文です。

SCY-635, a Novel Nonimmunosuppressive Analog of Cyclosporine That Exhibits Potent Inhibition of Hepatitis C Virus RNA Replication In Vitro

タクロリムスと結合するFKBP-12にも同様のプロリルイソメラーゼ活性があります。かなり以前、私の友人がタクロリムスの非免疫抑制性アナログの神経再生活性を研究していましたが、どうなったのでしょうか?

なお、サイクロフィリン阻害薬の抗HCV作用については、Debiopharmのalisporivir (Debio 025)についても報告されています。これらのシクロフィリン阻害薬は、従来のペグインターフェロンやリバビリンと併用する形で臨床試験が行われています。

HCVについては、テラプレビル(telaprevir)のような特異的作用薬の方が効果的かもしれません(記事をみる)。

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