TLR4とHMGB1はてんかん発生に関与し、痙攣発作治療の分子標的になる。

Toll-like receptor 4 and high-mobility group box-1 are involved in ictogenesis and can be targeted to reduce seizures

以下は要約の抜粋です。


脳の炎症は、てんかんの重要な要因の1つだが、特定の炎症メディエーターがニューロンの興奮性に与える影響については、完全には解明されていない。

研究者らは、C57BL/6マウスの急性及び慢性痙攣モデルを用いて、ニューロンとグリアから遊離されたhigh-mobility group box-1 (HMGB1)が、自然免疫において重要な受容体、Toll-like receptor 4 (TLR4)に結合することで活性化される、新しいてんかん発生経路を発見した。

HMGB1やTLR4の拮抗薬は、急性および慢性の痙攣発作を抑制した。TRL4受容体欠損マウスは、カイニン酸による痙攣発作誘導に対して抵抗性を示した。

マウスモデルと同様、ヒト脳のてんかん発生部位でHMGB1とTLR4の発現は増加しており、ヒトのてんかん発症においてもHMGB1-TLR4経路が重要であることが示唆された。
以上の結果から、HMGB1-TLR4経路は、ヒトの痙攣発作においてもその発生と存続に対して重要と思われ、現在難治性とされるてんかん発作に対する新しい薬物の分子標的になるかもしれない。


TRL4は先日、重症敗血症治療薬「エリトラン」の標的分子として紹介しました(記事をみる)。

HMGB1は、非ヒストン核蛋白の主要成分で、電気泳動上の高度な移動性(HMG= high mobility group)がその名の由来です。分子内にHMGボックスというDNA結合ドメインを2つ有しており、ヒストンH1と置換してヌクレオソーム構造を弛緩させ転写を容易にします。

一方、HMGB1は、分泌シグナルは持たないですが、細胞外に分泌されて種々の機能を果すことが明らかにされています。特に、TNFα刺激によりマクロファージから分泌され、敗血症のメディエーターとして働くことが知られています。受容体としては、TRL4、TRL2、receptor for advanced glycation endproducts (RAGE)などが知られています。

本論文では、BoxA(HMGB1の一部)とRhodobacter sphaeroides LPSとcyanobacterial LPSの2つのTLR4拮抗薬が用いられ、痙攣を抑制することが示されました。エリトランは、blood-brain barrier (BBB)を越えないのかもしれませんが、BBBを越えるようなTLR4拮抗薬は、抗てんかん薬になる可能性があります。

てんかんと敗血症の発生メカニズムが似ているということに驚きました。

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