エーザイ新薬「エリトラン」の中間解析結果:TLR4アンタゴニストによる重症敗血症治療

エーザイの売り上げを大きく左右する新薬「エリトラン」の中間解析結果

以下は、記事の抜粋です。


3月25日、製薬大手エーザイが20カ国以上で国際共同治験を進めている新薬、「エリトラン」の中間解析結果が明らかになる。

エリトランは「重症敗血症」の治療薬。「重症敗血症」は、細菌の感染により正常な免疫機能が低下して、ショック症状や多臓器不全を引き起こし、場合によっては死亡する可能性もある。救急医療などで高いニーズがありながら、これまで重症敗血症には効き目の良い薬が乏しかった。 そのため発売すれば「3000億円以上を売り上げるブロックバスターにバケる可能性が高い」(外資系証券アナリスト)とみられている。

中間解析の結果、有効性や安全性などが確認されれば、6月にも日米欧で承認申請することが確定し、発売に向けた大きな一歩となる。しかし、クリアできない場合は、今後500症例を積み増し、計2000症例のデータを改めて解析することになり、「申請は今年の暮れ以降にずれ込み、業績には痛手だ」(同社幹部)。

中間解析の結果が振るわず、申請時期が延びることになれば、一時的にせよエーザイの売上高は大きく減る。今のところエリトランの中間解析結果の見通しは「5分5分」(前同幹部)と見られており、緊張感漂う3月25日となりそうである。


エーザイ、重症敗血症治療剤「エリトラン(E5564)」の第3相試験を継続」に書かれているように、独立データモニタリング委員会は、3月25日、1500例での化合物の有効性と安全性に関する中間解析評可の結果、目標数例の2000例まで試験を継続することを推奨しました。これを受けて、エーザイの株価が一時的に下がりしました。

細菌などの病原微生物が体内に入り、血液培養などでその微生物(細菌、真菌など)が発見されると菌血症と診断されます。敗血症は、微生物や微生物毒素などの刺激により遊離された炎症性サイトカインがひきおこす生体の過剰反応です。

炎症性サイトカインは、好中球を刺激し、放出された蛋白分解酵素・活性酸素などが組織障害をおこします。重症例では、敗血症性ショックや血管内凝固症候群(DIC)、臓器不全(MOF)などを引き起こし、死に至ることもあります。

エリトランは、細菌から放出されるエンドトキシンの1つ、グラム陰性菌リポ多糖とTLR4(toll-like receptor 4)という受容体との結合を阻害します。その結果、炎症性サイトカインの遊離が阻害され、敗血症症状の発現が抑制されるそうです。

2010年1月に論文発表された、293人を対象とする重症敗血症に対するphase 2 trialでは、プラセボ群の33.3%に対し低用量群(45mg/6days)では32.0%、高用量群(105mg/6days)では26.9%の死亡率でした。エーザイは、目標としていた5%以上の死亡率の低下を達成したとしています(論文の要約をみるエーザイの発表をみる)。

phase 3 trialの継続は、何を意味しているのでしょうか?toll-like receptorは、TLR1-10の10種類からなるファミリーです。エンドドキシン・ショックにおけるTLR4の役割は大きいと思われますが、エリトランは、TLR2やTLR3などの活性化は阻害できないので、炎症性サイトカイン遊離抑制効果は部分的だと考えられます。
「3000億円以上を売り上げるブロックバスターにバケる可能性が高い」(外資系証券アナリスト)というのは本当でしょうか?

エーザイの発表にあるエリトラン(E5564)の作用メカニズム

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