日本人5人に1人、クロピドクレル(プラビックス)が効きにくい:CYP2C19遺伝子多型との関係

Plavix gets new FDA warning:プラビックスに対するFDAからの新しい警告

以下は、記事の抜粋です。


抗血栓薬プラビックス(一般名:クロピドクレル)は、薬物代謝酵素に変異を持つ患者では効果が得られにくいことを「使用上の注意」に追加させると、米国の当局筋(FDA)が3月12日に発表した。

FDAは、年間売り上げ80億ドルのプラビックスに対して新しい注意書き、「プラビックスをうまく代謝できない人(poor metabolizer)は、期待した治療効果が期待できない」を追加すると発表した。

Poor metabolizersとは、プラビックスを活性型の代謝産物に変換できない人たちのことだ。プラビックスは、poor metabolizerには効きがわるい。FDAによると、アメリカの人口の2-14%(人種で異なる。白人は低く、アジア人で高い)がプラビックスのpoor metabolizerだ。

新しい「使用上の注意」では、医師に対して、担当の患者に遺伝子検査を受けさせ、poor metabolizerかどうかを調べるように、さらにpoor metabolizerであることがわかった場合は、代替薬に変更するように指導することになる。

プラビックスは、世界で2番目に良く売れている薬物で、2012年に特許が切れる。poor metabolizerにも有効な新薬は現在研究中で、近々発表予定である。

プラビックスは、心臓発作、不安定狭心症、脳梗塞などの危険性を減らすとともに、心臓病の患者の死亡率を減らすが、これは血小板の作用を抑制して血液が固まりにくくする作用による。

プラビックスは肝臓にあるCYP2C19という酵素で代謝されてはじめて、抗血小板作用を発揮する。

Poor metabolizersと効果の減少に関する注意書きは、2009年5月に最初に記載された。しかし、その後の研究の蓄積によって、CYP2C19とプラビックスの効果との関連がよりはっきりしたので、CYP2C19活性が低い変異(遺伝子多型)がある場合には、他の薬物の使用を考えるべきだという強い警告に変更した、とFDAのSouthworth氏は述べている。


心筋梗塞や脳梗塞など、血管が詰まることによっておこる病気では、血管の中で血栓という血液の小さなかたまりができることが引き金になります。血栓形成には、血小板が周囲からの刺激に反応して、凝集し、その中身を放出することが重要です。

血小板凝集によって放出されるADPという物質は、それ自身が血小板の凝集をひき起こします。つまり、一度ADPが放出されると、放出されたADPが他の血小板に働くので凝集が加速度的に進みます。

ADPは、血小板の細胞膜にあるP2Y12という受容体に結合し、細胞内でのcAMP量を減らしたり、PI3Kというリン酸化酵素を活性化したりすることで血小板を凝集させます。

クロピドクレルは、CYP2C19によって活性代謝物になり、P2Y12受容体に不可逆的に結合します。その結果、ADPがP2Y12受容体に結合しにくくなり、血小板の凝集が抑制され、血栓の形成が抑制されると考えられています。
これまで、CYP2C19の遺伝子多型がクロピドグレルの低反応に関与するとの研究成果が蓄積されいます。人種差も確認されており、活性が欠損し代謝機能が低下している割合が、欧米では約3%であるのに対し、日本人では約20%とされています。

上記の記事とあわせて考えると、日本人の場合、5人に1人の割合でクロピドクレルの効きが悪いことになります。しかし、日本の「使用上の注意」には特別の記載はありません。

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