青い色素でラットの脊髄損傷を治療

副作用は「青い身体」:食用色素で脊髄損傷を治療
脊髄損傷に新治療法――青いラット
Food dye ‘may ease spinal injury’

以下は記事の抜粋です。


人為的に麻痺状態にした実験用ラット。露出した脊髄に重りを落下させて傷害を与えてある。15分後、食品色素として一般的な「青色1号」の派生色素ブリリアントブルーG(BBG)を投与したところ、脊髄の炎症が抑えられた。数週間後には、辛うじて前進できるようになるまで回復したという。

ラットに限らず人間でも脊髄に損傷を受けた場合、直接の外力による一次的な障害よりも、その後に起こる二次的な炎症の方が後遺症に及ぼす影響は大きい。腫れによる圧迫で血流が止まり、周辺組織が壊死してしまうことがあるためだ。

ニューヨーク州にあるロチェスター大学医療センターの神経科学者マイケン・ネーデルガード氏は今回の実験について、「皮膚や目が青くなった以外に副作用は認められない」と話している。副作用が無いのであれば、将来的には人間の麻痺の治療にも使える可能性がある。


「脊髄損傷後の二次的な損傷は、アデノシン三リン酸(ATP)の組織からの放出によってひき起こされ、ATPの受容体の一つであるP2X7受容体の活性化が二次的損傷において重要であることはわかっていたが、脊髄損傷に有効なP2X7受容体拮抗薬は発見されていなかった。」とPNASの論文の要約には書かれています(要約を見る)。

記事によると、BBGはP2X7受容体拮抗薬として働き、脊髄の二次的損傷を抑制したそうです。構造が類似する「青色1号」は「血液脳関門」を通過するので、静脈投与でも脊髄へ到達できるそうです。「青色1号」を患者が青くなるほど大量に投与した場合の毒性の有無と、クスリとしては安価すぎて製薬会社が興味を持たないだろうという点が問題として指摘されています。

ネットで、P2X7受容体拮抗薬を調べたところ、AstraZeneca社がAZD-9056というP2X7受容体拮抗薬を、関節リウマチと慢性閉塞性肺疾患の治療薬として開発していました。問題となるような副作用がなく、血液脳関門を通過できれば、このような薬物を脊髄損傷治療薬に転用できるかもしれません。

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