インフルエンザ新薬について

国産インフルエンザ新薬、投入目前 3社が開発競争
10年にもインフル新薬発売へ 塩野義製薬

これらの記事で、3社とは塩野義製薬、第一三共製薬、富山化学の3つの事です。「塩野義は豚インフルエンザ新薬の投入観測報道を受けて急反発」のニュースのように、今回の新型インフルエンザ騒ぎで株価まで変動しています。これらの新薬とはどのようなものかを調べてみました。

サンケイの記事にある「国産」という言葉が、日本で創薬されたという意味であれば、それにあてはまるのは第一三共と富山化学だけです。

塩野義製薬のペラミビル(Peramivir)は、BioCrystというアメリカのバイオベンチャーが創薬しました。塩野義は日本と台湾における臨床開発(研究ではなく治験)と販売の契約を結んだだけです(ライセンス契約締結のお知らせをみる)。どうみてもアメリカ産です。BioCrystはその名の通りだとすると、結晶構造からの創薬を狙っているベンチャーです。

ペラミビルはタミフル(オセルタミビル)やリレンザ(ザナミビル)と同じノイラミニダーゼ阻害薬です。臨床試験の結果をみる限りでは、経口服用したタミフルと静注したペラミビルの間に臨床効果の差はないようです。投与法が違うことにどれほど価値があるのか、私には良くわかりません。

CS-8958は、第一三共によって発見されましたが、基本構造はリレンザとまったく同じです(構造をみる)。リレンザは、世界で最初の抗インフルエンザ薬として、オーストラリアのベンチャー、Biotaによって創薬されました。第一三共は、CS-8958をそのBiotaと共同開発しました。

CS-8958の特徴は、長時間作用型で、一度吸入すれば、1週間抗インフルエンザ効果があることです。そのためか、CS-8958は、「第二世代リレンザ」とか「長時間作用型リレンザ」と呼ばれています。この特性は、パンデミック対策に有効と考えられ、紹介する3つの薬物の中では最も市場に近いと思います。

富山化学のT-705は、タミフルなどとは異なり、ノイラミニダーゼ阻害薬ではなく、RNAポリメラーゼ阻害薬です。他のノイラミニダーゼ阻害薬とは、作用メカニズムも構造もまったく異なるので、新薬としては一番期待されますが、副作用などの不安も一番強いと思われます(構造をみる)。

ペラミビルとCS-8958は、あくまで第二世代ノイラミニダーゼ阻害薬であり、第一世代ほどのインパクトはありません。しかし、ノイラミニダーゼ阻害薬は、タミフルで説明したように、予防的な効果が優れているので、パンデミック対策としては、種々の投与法が揃うことは心強いと思います。今後は、RNAポリメラーゼ阻害薬の開発競争になると思われます。富山化学(たぶん、富士フィルムに買収された)の健闘を祈っています。

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