「迅速診断キット陰性」が新型インフルエンザ感染確定者の46.5%

2009年5月19日現在の神戸市における新型インフルエンザの臨床像(暫定報告)

2009年5月20日に、国立感染症研究所感染症情報センターと神戸市保健所が発表した、新型インフルエンザ感染が確認(RT-PCR陽性者)された43人のデータです。

驚いたことに、「迅速診断キット陰性」が感染確定者の46.5%もありました。具体的には、迅速検査ではA型が陰性だったにもかかわらず、後のRT-PCRにより新型インフルエンザだと確定診断された患者が20人でした。

報告された43人は、臨床的に新型が強く疑われたので、迅速キットでA型陰性にもかかわらず、RT-PCRが行われたのでしょう。しかし、通常は迅速キットでA型陰性ならPCRは行いません。つまり、実際の偽陰性率はもっと高いと思われます。

GSKのサイトでは、インフルエンザ迅速診断の特異度(ウイルス分離やRT-PCRで陰性と確認された検体で、迅速診断キットで測定した場合何%一致するかを示す指標)は、90%以上と書かれています(GSKのサイトをみる)。つまり、偽陰性は10%以下です。

新型インフルエンザが季節性と比べて抗原性が低いのかどうかわかりませんが、5月20日の発表だけから考えると、上述のように、現存の迅速キットは、新型の診断に使うには、感度が低すぎると思われます。

迅速キットは、イムノクロマトグラフィーという原理で、インフルエンザウイルスの抗原を検出します。簡便で短時間で結果が出ることから広く普及していますが、感度が低いため、季節性の場合でも感染初期にはしばしば偽陰性を示す事が知られていました。

また、抗インフルエンザ薬として知られているタミフル(オセルタミビル)やリレンザ(ザナミビル)は、発症後48時間以内しか効きません。これらを考えると、今後のインフルエンザ流行に対応するためには、感染初期のウイルス量が少ない症例でも確実に診断できる高感度迅速測定キットの開発が重要だと思われます。

タミフル(オセルタミビル)やリレンザ(ザナミビル)などの薬物も、マスコミで報道されているような「特効薬」ではありません。まだまだ研究者には仕事がありそうです。

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